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Netflixの「極悪女王」をイッキ見してしまった

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今月2度目の三連休の中日、こちらのドラマをイッキ見してしまいました。9月19日から配信が始まった、Netflixの「極悪女王」です。

ここは洋書について語るブログなので、英語字幕付きの予告編をどうぞ。タイトルの英訳はそのまま「The Queen of Villains」。

用事が山ほどあったのに、全5話という短さもあってやめられなくなり、結局丸一日つぶれてしまいました。しかしそのことに1ミリも後悔していません。むしろ、今これを見なくてどうする!?と思うぐらいの、会心の一作でした!

まずなんといっても、自分はドンピシャのクラッシュギャルズ世代ですので…。小学生〜中学生時代、格闘技が特別好きなわけではなかった私も、毎週月曜日の夜7時に放映されていた女子プロレス中継は欠かさず見ていました。次の日は、クラス中がその話題でもちきりでしたね。女子はクラッシュギャルズと極悪同盟の対決の行方に、男子はそれに加えて悪徳レフェリーの阿部四郎の一挙手一投足に、それぞれ夢中になっていたものです。

とはいうものの、当初このドラマにはそれほど期待していませんでした。過激な描写と懐古主義を前面に出し「何でもアリ」だった昭和の時代を懐かしむような作品なんだろう…と勝手に思っていたから。

しかし、この作品はそんな疑念を見事に晴らし、予想を気持ちよく裏切ってくれました。最近ネットフリックスからは心が離れていたのですが、久しぶりに「さすがネトフリ」と思える作品が登場しました。しかもそれが日本発のドラマなのが嬉しいですね。

※当記事のサムネイルが女子プロレスの画像でなくて申し訳ありません。良い写真素材が見つからなかったので仕方なく…。

このドラマで描かれているのは、昭和のバブル期、自己表現の手段としてプロレスを選んだ女性たちのシスターフッドです。

彼女たちはそれぞれ、貧困がもたらす家庭崩壊に苦しんでいたり、美人で清純な女の子像が求められる世の中で自分らしく輝ける場所を探し求めていたりします。日々の戦いが終わると、彼女たちは合宿所で同じ時を過ごし、将来の夢や悩み事を語り合います。

しかし、そこは厳しいプロの世界。実力があっても、世間が求める魅力がなければ容赦なく切り捨てられます。そんな中で築かれる友情もあれば、壊れてしまう友情もあり…。リングの上では敵同士として壮絶な闘いを繰り広げながらも、深い部分ではお互いを理解しつつ、各々の役割を果たすべく奮闘し続けるのです。

彼女たちのストーリーは、分断が深まるばかりの現代社会に生きる私の心にまっすぐ、鋭く刺さりましたよ。それに、世間のメインストリームから外れたところにいる人たちが懸命に居場所を見つけていく姿には、時代の狭間で常に煮え湯を飲まされている我々団塊ジュニア〜氷河期世代にはもちろん、暗いニュースばかりで将来への希望を見出すことができずにいる若い世代にもがっちりハマるのではないでしょうか。

そして…ほぼすべて実名で描かれるエンタメ界の栄枯盛衰。ここには制作者の強い覚悟を感じたし、それを形にする俳優さんたちの演技も本当に素晴らしかったです。

「リングの上だけでプロレスをやっているわけではない」という長与千種の言葉。スキャンダルで世間を賑わせた唐田えりかにこのセリフを言わせることで、ものすごい説得力が生まれてます。彼女の相棒であるライオネス飛鳥役に剛力彩芽を持ってきたのもさすがだし(彼女はかつての事務所の売り出し方が悪くて損してましたよね)、ダンプ松本役のゆりやんレトリィバァは、イロモノではなく本物の表現者であることを見せつけてくれました。彼女たちには今後も、良質な作品にどんどん出てもらいたいです。これからが楽しみ!

ということで、先日エミー賞を席巻した「SHOGUN 将軍」に続き、日本のエンタメに新たな風を巻き起こしてくれそうなドラマがようやく出てきてくれました。これは日本でだけじゃなく、ぜひ世界で観られてほしいですね。いまインバウンドで日本に来ている観光客が求めているのは、このドラマで描かれているような世界観なんじゃないかと思うので。


思わずこんな本を購入。ドラマ仕立ての秀逸なノンフィクションです。Kindle版のサンプル部分で著者の熱量にやられました…。

【参考】
欧米ではポップカルチャーとして女子プロレスが盛り上がってきているようです。英語を勉強中の人はこういう情報もチェックしておくと、ネイティブスピーカーとの会話が広がるかも。

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