音楽雑誌Rolling Stoneの寄稿ライター、ロブ・シェフィールドさんが妻レネーさんとの日々を綴った回顧録です。
ロブさんの物語は、1993年、彼がブルックリンのアパートでカセットテープを聴きながら眠れぬ夜を過ごすシーンで始まります。スピーカーから流れているのは、レネーさんのお気に入りの音楽。しかしそのレネーさんは、ロブさんの隣にはもういません……。
そこから、1人の「草食系音楽オタク」の愛と喪失の思い出が静かに語られていきます。
涙なしでは読めなかった。
あああああ、もうダメです…。
ここまで書いたところで、私は泣いています。この記事を書き上げるまで、私の精神状態は持つのだろうか。
217ページというちょうどいいボリューム感。しかし、読み終えるまでにすごく時間がかかってしまいました。なぜなら、ロブさんの妻への思いがあまりにも深くて、それがとても悲しくて、一つの章を読み終えるたびに何も手につかなくなってしまったからです。
2人で過ごした日常のできごとが淡々と語られているだけなのに、気がつくと涙がこぼれて、胸が張り裂けそうになるのです。
極上の音楽案内。
この本では、ロブさんとレネーさんの生活をそのときどきで彩ってきた音楽が惜しみなく紹介されています。
夫婦ともに音楽ライターというだけあって、曲のセレクトがとても素晴らしいのです。といっても私は熱心な音楽マニアというわけではないので、知らない曲も結構出てきて…。気になる曲名が出てくるたびに、Spotifyで探して聴いていました。
ありがたいことに、Spotifyにはこの本の読者が作ったプレイリストが公開されています。全377曲、再生時間24時間以上の大作。作成者のJulieさんには感謝の言葉しかありません。
人を愛することの喜び。
切ない愛のメモワールですが、最後は希望の見える形で締めくくられます。人を愛することは、時として辛いこともあるけれど、それでもやっぱり素敵なことだな…と思えます。この本は永久保存版として、これからもボロボロになるまで何度も繰り返し読むことになりそうです。
私が著者を知ったきっかけ。
私がロブ・シェフィールドさんを知ったのは、2015年のローリング・ストーンWeb版(英語)に掲載された、ロブさんによるOne Directionののライブレポートでした。
この記事の2番目そして14番目の項目を読んで、即座にロブさんとは気が合うと感じました。ちなみに1Dでの私の推しはルイ・トムリンソンとハリー・スタイルズです(いらない情報)。
そして、ハリー・スタイルズもロブさんの文章を気に入っているようで、雑誌「i-D」のティモシー・シャラメとの対談の中で、お気に入りの本として「Love Is A Mix Tape」を挙げていました。さらに今年2月には、この本を手にしたハリーの写真が公開され、これにはロブさんも大喜びでコメントを投稿。この一連のツイートが、私がこの本を購入する決め手になりました。
本と私の出会いは、本探しとは関係のないところで、こんなふうに偶然やってくることが多いです。人との出会いと同じように。
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